【JJC通信】大規模な会<出会いと食> No.12 

出会いと食のプロデュースの開発です。


今回は大規模な会について
お話してみたいと思います。


大規模な会というと、サラリーマンに
とっては株主総会や入社式、新年会などが
思い浮かびます。


今回は最終営業日に行われる
「納会」についてお話してみたいと思います。


実は数年前まで、
「納会」が何たるを知りませんでした。


新卒で入った会社は日系企業でしたが、
年末年始は書き入れ時ゆえに
その言葉の存在すらなく、その後に入った
外資系企業でも文化の違いからか
話が出ること自体ありませんでした。


なので1回も納会たるものを
経験したことがない中で、
「納会をまとめてほしい」と上司から指令が
下った時の私の困惑ぶりをお察し下さい。


(上司は上司で、急病で入院中の先輩に
頼むつもりだったのに、未経者に頼まざるを
得なかった不安さがあったと思います・・・)


納会のイメージが湧かない方も
おられるかもしれませんので簡単にご説明しますと、
納会とは「その年の最後に行うしめくくりの会。
飲食物が振舞われることもある」
会のことで、一部の日系企業の幹部は非常に
大切な会であると考えています。


私の会社のトップも非常に
重要な会合と思っており、開催は絶対です。



とはいえ、1回も納会を経験していないのに、
一体何をいつまでにどうすればよいのか?


この時、私も転職して数か月でしたが、
上司も異動して数か月であり
運営側としては未経験。


唯一頼りになるのは先輩ですが、
彼は安静が必要な状態であったので
あまり聞くわけにもいきません。


大急ぎで前年、前前年の資料を調べ、
会場及び飲食物の手配・役員等へ
スピーチの依頼・手伝い要員の確保・集客
(社員/当日在籍の半数は出席させる)・
当日の会場運営等が必要なことがわかりました。


事前に出来ることは全て行ったのですが、
数十人でやる部門の忘年会とは異なり、
700人以上が1か所に集まる会です。


まだ会社のカラーも掴めておらず、
何を聞かれても「多分●●ですね」
という回答しかできません。


そして、会は始まりました。


私の作ったタイムスケジュールは
最初から守られることなく、スピーチは1人5分で、
とお願いしたのにも関わらず、
5分以上延々と話す役員たち。


一方、会場の奥の方では
ワイワイと談笑する社員たち。


乾杯用に用意したビールから
泡が抜けていきます。


集客の成果が出過ぎて、定員以上が
集まった会場の酸素濃度は下がる一方。


貧血で倒れる人が出るのではと、
空調を暖房から送風に切り替えるなど
対応に走ります。


これがあんなにもトップが
やりたがっていた納会か?と思いましたが、
冷静に会場を見渡して分かったことがありました。


グループがはっきり2つに分かれているのです。


1つは役員のグループ。


このメンバーは仕事(部下)への思いが
大変熱く、滾る思いを対面で部下たちに
伝えたいと思っています。


彼らはお酒こそ口にしますが、食べ物は
ほとんど食べずにおりトップを中心に
一群となっています。


2つ目は一般の社員のグループ。


このメンバーの多くは飲食物につられて来ており、
役員の思いを聞いて感動する人もいるでしょうが、
多くは同僚と話しながら飲食することがメインと
考えています。


従って、役員のスピーチもあまり聞いていません。


この2つのグループは最後まで融合することなく、
解散となりました。


(疲労困憊した私たちお手伝い要員を除いて)
皆、満足の様子で帰ります。


ピンチヒッターながら、まとめ役をやった私は
「本当にこのような会合で良かったのか」
考えました。


どう考えても、役員と社員では温度差が
あり過ぎて、トップの意向が伝わっている
ようには思えなかったからです。


翌年の納会には先輩が復帰したので、
まとめ役は先輩がやり、私は一要員として
手伝いました。


そして手伝いながら、前年からの謎
「役員と社員では温度差があり過ぎて、
トップの意向が伝わっているようには
思えないのに何故毎年実施するのか」
が解けた気がしました。


トップも馬鹿ではないので、自分達と社員には
温度差があることを十分理解しています。


熱く語った内容が社員に完全に
伝わり切っていないのも、勿論分かっています。


ただ、業務終了後でリラックスした数百人の
社員の顔を直接見ることで、トップは社員の
雰囲気を察することが出来るし
逆もまた然りで、肉声で話すことでトップの
気持ちを少しでも多く社員に伝えることが
出来るのではないかと考えているのではないか、
と思ったのです。


運営側にしてみると最後の最後まで
気が抜けず大変ではあるのですが
(毎回小規模トラブルが当日発生します)、
トップの開催にかける思いを察すると、
「この会合の場を大切にしよう」と
心が改まる思いになります。


昨年末も、そんな気分で走り回って
過ごした「納会」デーでした。


食と出会いのプロデューサー
開発香織