【JJC通信】歌うことⅡVol.5 

皆さん、こんにちは。
充実人生コンサートの安納一郎です。


伊藤礼子さんから、
【JJC通信】「老化という迷信からの解放」
の中で皆さんに問いかけがありましたので、
充実人生コンサートのメンバーの
ひとりとして、「歌うこと」に特化した
ご返信を書いてみました。


小生が若い頃には、ソプラノや
テノールのように高音域を歌う人は
プロ、アマを問わず35~40歳がピークで、
その後は下降していくと言われていました。


ある有名なアマチュア合唱団では、
暗黙のうちに事実上の定年制があり、
ソプラノは40台後半になると
やめていったりアルトに移ったり
しなければならなかったそうです。


また、小生がかつて所属していた
大学の男声合唱団のOBに、
張りのある美声のテノールが
いたのですが、最近そのOB演奏会を
聴きに行くと、なんとその人が
ベースを歌っていたのです。


すでに90歳を越えた大先輩ですから
無理も無いといえばそれまでですが、
なぜトップテナーからベースまで
移行したのか分かりませんでした。


声楽は体が楽器、肉体が衰えれば
歌えなくなってくるというのも
分かります。


小生もテノールのハシクレ、以前、
心配になって所属していた合唱団の指揮者に、
自分も歳をとったらバリトンに行くのか、
と聞いたことがあります。


すると先生、小生の頭のてっぺんから
足の先までをじっくり眺めた後、
お前は声帯も脚も短いからバリトンは
無理だろうな、とのきついお言葉。


脚は関係ないでしょうと
言いたかったのですが、その頃の
日本人のテノールは概ね背が低く、
バリトンは大柄な人が多かった
ようなので、不本意ながら納得せざるを
得ませんでした。


早い話が、声が出なくなったら御祓箱だ、
と言われた様なものです。


ところが、これに対して
真逆の意見を唱える人もいます。


小生が50台後半から6年間
ヴォイストレーニングを受けた先生です。


学生時代は、ある音大の声楽科に
在籍しながら、わざわざ休学して
別の大学の医学部に入り、発声法を
医学的に検証したというくらい
研究熱心な人です。


この先生によると、
一、年齢を重ね人生経験を積むほど、
音楽に対する感性は豊かになる。


二、人間の声で、歳をとっても
衰えないのが高音域である。


高齢になって高域が出なくなるのは、
それまでの発声法が間違っている
からである。


一つ目に関しては
納得される方も多いでしょう。


歌に限らず、多くの芸術において
よく言われることです。


二つ目には異論反論もあると思います。
ただ、この先生は先に述べたように
医学的な見地にも立って
言われているので、十分根拠の
ある説だと思っています。


人が声を出す時、低音域に比べ、
高音域は少ない息で声帯を鳴らす
ことができる、つまり、体力が
落ちてきても声帯を効率よく鳴らせば
十分歌える。


ただ、世の中の多くの歌い手は、
誤った発声法で長年声帯を
酷使するため、年齢が来ると
高音域が出なくなってしまう。


正しい発声法で歌えば、
「息をしている限り」
最後まで出せるのが高音域だ、
とこの先生は言っています。


さて、小生はどちらを信じたらいいか。


声帯と脚の短い身としては、
後者の先生の見解を信じて、
一生テノールのまま、
(もうしばらくは息をしていそうなので)
歳を重ねても歌える歌、
いや歳を重ねてこそ歌える歌を
歌っていければと考えています。



第5回充実人生コンサート(テーマ:雨)より


充実人生コンサート
統 括 安 納 一 郎
~白髪のテノール~
 

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