【JJC通信】哀しみの保健室 vol.1~死別による心の痛みに必要とされるケア~ 

皆さん、こんにちは。


私は日本グリーフ専門士協会の
前川美幸と申します。


礼子さんには家族ぐるみでお世話になり、
JCCの活動にも興味深く関心を寄せていました。


この度、縁あってお仲間に入れて頂き、
とても嬉しく感激しております。


私は看護師・ケアマネージャーとして
働く傍ら、コーチング、カウンセリングを
学んできました。


現在はグリーフケアを広める活動に
専念しています。


グリーフとは「喪失悲嘆とその反応」を指し、
狭義では死別による喪失悲嘆を意味します。


団塊世代が高齢者となった今、
日本は超高齢社会から多死社会へと
確実に歩んでいます。


2025年には、団塊の世代が一斉に
後期高齢者となり、現在約130万人と
言われる年間死亡者数は、
約160万人以上に膨れ上がると
予測されています。
(厚生労働省 平成28年(2016)
人口動態統計の年間推計より)


大切な人との死別において
後悔しない最期を迎えるために、
また死別喪失後に引き起こる悲嘆を
少しでも和らげるために知っておきたいことを
「哀しみの保健室」シリーズとして
お伝えしていきます。


喪失には、様々な断絶がある



死別による喪失悲嘆は、いわば大切な
存在とのつながりが完全に絶たれてしまった
「断絶感」にうちひしがれている状態です。


その断絶は「個人とのつながり」だけでなく、
それに付随するものとも引き起こります。


誰もが様々なものに多面的に支えられ、
自分という存在を維持しており、
そのうちのどれか一つが欠けても、
脆く崩壊する危うさを秘めています。


大切な誰かを失うと、その死別喪失に付随し、
家族や友人、社会その他、それ以外の
「生きていく上での欠かせないモノ」
との繋がりが絶たれ、激しい痛みや
苦悩が生じます。


それは今、支援者の立場にいる
「私」たちも同じです。


支援する側もされる側も
「同じ人間としての痛み」は、
なにひとつ変わりません。


そのような同列の視点や感覚を持って、
対応することが耐えきれない悲嘆に
喘ぐ人に対する大切な心がけの
ひとつと言われます。


「大切な人を死別で失った断絶感の
只中にある人に対しては、どのような
言葉がけが有効でしょうか?」
という質問を、介護や看護の現場で
活躍する方々からお受けする機会が
私はよくあります。


そのような問いかけに対しては
「どんなケースにも通用するような
間違いのない台詞はまずないと思って
頂きたい」旨をお伝えしています。


死別による喪失悲嘆の反応は、
失われた存在との関係性やその人自身の
これまでの人生経験などの個別性によって
千差万別の格差があり、一概に
「これでいいです」と言えるような雛形は
存在しないからです。


親との死別ひとつとってみても、
その親との関係性がどうであったかにおいて、
その死別に対する悲嘆の反応は
人それぞれにちがいます。


まるで一卵性親子といわれるほどに
仲睦まじかった親子関係であったからこその
深い悲嘆もあるでしょう。


一方で長年の確執に悩み、和解の機会を
果たせないままに親を死別で失った場合にも、
その悲嘆は複雑化し長くその人を
苦しめることになりがちです。


また高齢となった親を看取る以外にも、
突然の病による配偶者離別、あるいは
事故や事件によって子どもを失う喪失
悲嘆を体験する人も少なくありません。


大きな災害によって家族を同時に
失うこともあります。


この世に誕生してからいろいろなものと出会い、
手にしてきた人生もやがて段々と、
新たに得るものよりも手放したり失ったり
するものの方が多くなっていく実感が
強まってきます。


人生はある意味、喪失の連続と言っても
過言ではないかも知れません。


誰にとっても避けることができない
「喪失」とそれによって引き起こる
「悲嘆」について、気力や体力のあるうちに、
一緒に取り組み備えていけたら幸いです。



前川 美幸(まえかわ みゆき)
一般社団法人日本グリーフ専門士協会 理事

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